妊娠を機に禁煙を決意したのは良いものの、やめようと思いながらもなかなかすぐにはやめられず、喫煙を継続していませんか。
タバコには麻薬や覚せい剤と同じように中毒性があるため、禁煙することはそんなに簡単な事ではありません。
だからといって「少しくらい大丈夫だろう」と、仮に1日1本ずつタバコを吸い続けたとしても、喫煙が及ぼす胎児へのリスクは日に日に確実に高まってしまいます。
スポンサーリンク
目次
喫煙が胎児に与える影響
では妊娠中に喫煙を継続した場合、喫煙が胎児に一体どのような影響を及ぼすのでしょうか。
子宮内胎児発育遅延が起きる
喫煙による胎児へのリスクの1つとして、胎児の発育遅延が挙げられます。
タバコには血管を収縮する作用のある〈ニコチン〉や〈一酸化炭素〉などの有害物質が含まれており、胎児へ様々な身体的・精神的弊害がもたらされてしまうのです。
喫煙により血流が弱まると、十分な酸素や栄養が胎児に行き渡りにくくなります。
そして、酸素や栄養が不足することで、胎児が2500g未満の発達不十分な低体重児として生まれる確率が上がってしまうのです。
たとえ*生産期中に赤ちゃんが産まれたとしても、低体重児として産まれてくるケースが増えているのが現状です。
*生産期・・・出産するのに最も適した時期(一般的に37週0日を過ぎた胎児は、お母さんのお腹の外に出るための皮下脂肪や体の機能が十分に発達しており、安心して外の環境に適応できる)。
低体重で産まれてきた赤ちゃんはお母さんのおっぱいを吸う力が弱く、場合によっては保育器に入らざるを得なくなってしまいます。
妊娠中に喫煙をしていた母親の子どもは、成長過程において身長の伸びが遅れたり、言語機能の低下や多動的で集中力が持続しないといった行動障害などの異常が見られることがあります。
これらすべての症状も妊娠中の喫煙が原因だという事がわかっており、喫煙量が増えれば増えるほど、症状も悪化してしまうことが立証されています。
早産率が高まる
妊娠中の喫煙の影響として、最も心配されているのが早産のリスクが高くなるという事です。
早産とは、妊娠35週までに赤ちゃんが産まれてきてしまう事を指しますが、妊娠週数が少なければ少ないほど赤ちゃんに何かしらの障害が出る確率が上がります。
たばこを吸う妊婦さんは吸わない妊婦さんに比べて、なんと1.4~1.5倍も早産の頻度が高くなるのです。
さらに妊娠中に喫煙を継続することで、早産だけではなく*流産や*胎盤早期剥離などのリスクも高めてしまいます。
これらすべての異常も、発症リスクは喫煙本数が増えれば増えるほど高くなると言われています。
*流産・・・妊娠21週までに何らかの理由で胎児が死亡したり、母体の外に胎児が出てしまったりする事。
*胎盤早期剥離・・・赤ちゃんがお腹の中に居るうちにも関わらず、胎盤が子宮の壁から剥がれてしまう事を意味しています。
出産後の喫煙が与える影響
「出産を無事に終えたら、やっと喫煙を再開できる!」と、喜んでいませんか?
ここまで、妊娠中の喫煙だけでも様々なリスクがあるという事を説明してきました。
・・・が、実は妊娠中だけではなく、産後の喫煙にも深刻なリスクが潜んでいるのです。
ここからは、産後の喫煙にどのようなリスクがあるのか、具体的にみていきましょう。
母乳への影響
産後の新米お母さんの大仕事の1つが、『授乳』です。
完全母乳や混合、ミルクなどお母さんによってタイプはさまざまですが、「母乳で赤ちゃんを育てたい」と考えているお母さんは、授乳中も禁煙を継続することを強くお勧めします。
母乳は赤ちゃんにもお母さんにも嬉しい下記のようなたくさんのメリットがあり、赤ちゃんにとって母乳は❛完全食品❜といわれているほどです。
- 赤ちゃんの突然死の発生率を下げる
- 脳の発達に欠かせないタウリンが多く含まれ、赤ちゃんの脳の発育を促す。
- 免疫物質を含み、いろいろな病気から赤ちゃんを守ってくれる
- 消化吸収に優れ、アレルギーをおこしにくい
- 赤ちゃんがお乳を飲もうとする事で、頭の骨やあごの発達を促し脳に良い刺激を与える
- お母さんの乳がん、子宮がんなどの病気にかかるリスクが下がる
- 経済的かつ清潔
- 産後の子宮の回復を速やかにする
- 授乳には多くのカロリーが消費されるため、自然なダイエットが可能
その赤ちゃんにとって大切な授乳期に喫煙を再開してしまうと、タバコに含まれるニコチンが母乳中に入り込んでしまいます。
ニコチン入りの母乳を赤ちゃんが飲んでしまうと、ニコチン中毒にかかってしまう事があります。
ニコチン中毒の主な症状には、イライラや下痢、嘔吐や頻脈などがあり、赤ちゃんの健やかな成長を妨げかねません。
副流煙の影響
産後の喫煙によって影響があるのは母乳だけではありません。
『副流煙』も恐ろしいリスクの1つです。
タバコを吸わない人が、喫煙者の喫煙時に出すタバコの煙を自分の意志とは関係なく吸ってしまう事を『受動喫煙』と言います。
火のついているタバコの先から出る煙を『副流煙』といい、この副流煙には実際に喫煙者がタバコから吸っている『主流煙』よりも多くの有害物質が含まれているのです。
副流煙を吸い、受動喫煙をしてしまった赤ちゃんや子どもは、疾患・がん・感染症・喘息などのさまざまな病気のリスクにさらされ、ひどい時には突然死してしまう事もあります。
誤飲などの事故のリスク
赤ちゃんの誤飲事故のトップは何かご存知ですか?
タバコの誤飲です。
驚くことに、タバコたった1本には幼児を死に至らしめるに十分な量のニコチンが含まれています。
タバコ本体の誤飲も怖いのですが、タバコが溶け出した水を子どもが間違って飲んでしまわないように注意する必要があります。
固体よりも液体の方が身体への吸収が早いため、その水を飲んでしまった子どもは、高い確率でニコチン中毒にかかってしまうからです。
子どもの手に届くところにタバコやタバコの吸い殻を放置することは絶対にやめましょう。
万が一子どもがタバコを誤飲した場合には、すみやかに残りのタバコを口から吐き出させ、病院で受診するようにしてください。
スポンサーリンク
禁煙の効果
喫煙によるリスクの軽減
3〜4ヶ月頃までの妊娠早期に禁煙をした場合、低出生体重や早産のリスクが低下したり、がんや感染症・疾患などの発症率を抑えるなど、あらゆるリスクを軽減することが可能になります。
生活の改善
禁煙を行うことで、多方面にその効果があらわれます。
【身体的効果】
・口臭、服についたタバコの臭いが無くなる
・身体が軽くなる。酸欠が改善され、持久力が上がる
・味覚、臭覚が回復し、食事を楽しめるようになる
【精神的効果】
・集中力が回復する
・喫煙場所を探さなくて済む
・周りの人(家族など)が受動喫煙の被害にあわなくなる
【経済的効果】
・タバコ代を節約できる
・喫煙による臭いや汚れがなくなることで、クリーニング代が節約できる
まとめ
いかがでしたでしょうか。
母体の吸う1本1本のそのタバコによって、赤ちゃんが苦しんでいます。
「少しくらいいいかな」と喫煙を続けることで、ほかの誰でもないあなたの子どもの将来を左右してしまいます。
禁煙の重要性を理解し、後悔する前にしっかりと禁煙に取り組みましょう。
スポンサーリンク